京焼と菓子のコラボ オンライン茶会向けに

富永鈴香
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 コロナ禍で続く「おうち時間」を、楽しんでもらいたい――。京都市東山区で伝統的技術を継承する若手工芸家の集まり「工人(たくみびと)」の京焼作家らが、菓子と器のセット販売を始めた。

 器は工人の6人の作家が洋菓子用と和菓子用に制作し、7種類ある。横長の長方形でサイズは同じだが、作家ごとに柄が異なる。

 作家の一人、叶具夫(ともお)さん(43)は、七夕の夜空をイメージして、黒地に天の川のように金粉をあしらった。磁器の縁はとがらせて持ちやすさも工夫した。6代目小川文齋(ぶんさい)さん(47)の作品は白地に緑色で縁取り、小さく空いた円形の穴が風を通す。陶器の底は下駄(げた)のように足を付けて、涼しさを表現した。

 セット販売を始めたきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大だった。小川さんは「今が一番厳しい時期」と、打ち明ける。売り上げは例年の約4割に激減した。宴会向けの大規模な注文はなく、個展を開いても外出自粛の中で来場者数は伸び悩んだ。

 京焼・清水焼の窯元や店が多く並び「焼き物の街」としても知られる東山区五条坂・茶わん坂でも、後継者不足にコロナが追い打ちをかけた。店をたたむ老舗の工房も少なくないという。「若い作家で何かできないか」。叶さんは考えた。

 コロナ禍で、対面で行われていた会議や飲み会、裏千家の茶会までも今やオンラインで開催されていることに着目した。叶さんは「お茶を飲むとき、普段とは違い新しく居心地の良い時間を過ごせるようにしたい」と、菓子が映える器の開発を工人のメンバーに提案した。伝統産業などに関わる複数の企業が連携した新商品開発を支援する府の補助金も受けた。

 セットにする菓子店には、小川さんが知り合いの菓子店に依頼。洋菓子は、クレームデラクレーム(京都市中京区)の焼き菓子シュクレが4個。和菓子は、半兵衛麩(ふ)(京都市東山区)の夏限定の麩まんじゅう5個が入った「夏の玉手箱」がセットになっている。

 小川さんは、直接会えなくても画面越しでお茶をする時には、「『お皿きれいやな』と、見せ合いながら楽しんで欲しい」と話す。

 販売は数量限定。クレームデラクレームとのセットは店頭で販売しており、税込み1万980円。半兵衛麩とのセットは、税込み1万4300円で、店頭やオンライン(https://www.hanbey.jp/view/category/gift32別ウインドウで開きます)から、31日まで購入できる。(富永鈴香)

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