ウェブ面接で「部屋着見せて」 就活セクハラ、対策は

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高橋末菜
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 採用面接やインターンシップなどの場で、学生へのセクシュアルハラスメントがあとを絶ちません。就活生の4人に1人が被害者という調査結果もあります。実態をもとに、「就活セクハラ」の被害に遭ったらどう対応すべきかを考える動画を学生がつくりました。

相談例もとに動画制作

 「あなたの第一印象はスタイルがいい」。女子大学生は、面接担当の男性社員からの言葉に息をのんだ。入社面接の場で、もう1人の面接担当者が電話のため席を外した直後だった。

 「きっと男性からモテるタイプですよね。椅子から立って全身を見せていただけますか?」「後ろ姿も見せてもらえますか?」

 金城学院大学(名古屋市)の4年生、町田美穂さん(21)が昨年つくった就活セクハラの啓発動画の一場面だ。就活セクハラの相談にのる日本ハラスメント協会代表理事の村嵜(むらさき)要さんに協力してもらい、相談の具体例と学生に向けた助言を盛り込んだ。社会課題の解決に取り組む授業の一環だった。「これから就活をする後輩たちに、これ以上、被害に遭ってほしくない」との思いを込めたという。

オンライン面接でも

 新型コロナ禍で広がったオンライン面接でも、セクハラは起こる。動画はこんな事例も紹介している。

 自宅からのウェブ面接にのぞんだ女子学生に対し、面接担当の男性が言う。「女性らしくない、ちょっと汚い部屋だ。もう少し部屋を女性らしく、きれいにした方が印象がいい」。さらに「ウェブカメラを動かして部屋の奥のほうも見せていただけますか」。

 「(学生の)違う雰囲気も見たい。次の面接は部屋着で」と求められたケースも。「部屋が広そうだが、彼氏と住んでいるのか」と聞かれ、否定しても「どのくらいの頻度で彼氏が遊びに来るの」としつこく迫られる例もある。

 村嵜さんは「選考や応募した業務に直接関係ない質問に答える必要はない」と言う。面接担当者が学生の緊張を和らげようとしていることもあるが、「回答は選考や業務に関係する質問に限らせていただきます」と応じればよいという。

「食事会」に誘われたら

 動画は、採用担当者からメールで食事に誘われる場面も採り上げ、「あなたならどう回答しますか」と問いかける。メールは「2次面接の前に2人でいちど、お酒でも飲みながらリラックスした雰囲気で話をしませんか」といった内容だ。

 「食事会」がセクハラかどうかを見極めるポイントはいくつかあるという。ほかの学生も交えた複数人で行われるのか▽複数人でも女性だけ集められているのか▽人事担当者は複数人で来るのか▽公式な選考フローにのっとった食事会なのか、といった点だ。

 動画は、メールの返信例として「気になることは面接で質問します」と断ったり、更に強く誘われる場合は「学校の規定で禁止されており、学校に報告する必要もある」と伝えたりすることを勧める。被害に遭ったらひとりで抱え込まず、大学や身近な人に相談することも大切だ。

 最近、自身の就活を終えた町田さんは、コロナ禍で社員との接点が減っていることを踏まえ、「社員に直接会えて、助言してもらえる機会は以前よりも貴重。学生が誘いを断るのは難しいのでは」と多くの就活生の気持ちを推し量る。

 それだけに、送り出す大学側の取り組みの強化も訴える。「なにがセクハラにあたるのか知らない学生も多い。今後も継続的に、キャリア教育のなかで、こうした被害が起きうることを伝え続けてほしい」

 金城学院大では動画を全学生に配信した。ユーチューブ(https://youtu.be/2zjTJWnlCD0別ウインドウで開きます)でも見ることができる。

■「4人に1人」が被害…

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