緊急事態宣言、指標見直し検討 感染数より医療体制重視
政府は、緊急事態宣言の適用の目安となる指標を見直す検討を始めた。ワクチン接種で重症化を防げるとして、新規感染者数よりも病床使用率など医療提供体制の確保を重視する方向で、宣言の常態化を避ける狙いがある。9月12日を期限とする今の宣言への反映もめざすが、拙速な基準見直しは「世論の理解が得られない」などと慎重な議論を求める声もある。
政府は宣言の発出や解除の判断にあたり、医療の逼迫(ひっぱく)具合(病床使用率)やPCR陽性率、新規感染者数など5項目の指標を目安とする。このうち特に新規感染者数を「先行指標」として重視してきた。新たな感染者が増えれば、その後、重症者も増え、病床が逼迫する傾向があるからだ。
ただ、ワクチン接種が進んだことで、感染者の重症化が抑えられているとし、重視する指標の軸足を移す方針だ。菅義偉首相は、宣言の延長と拡大を発表した17日の記者会見で、「宣言を解除する前提は医療提供体制の確保だ」と説明。今後は、重症者数や病床使用率などを重視していく考えを示した。
会見に同席した政府対策分科会の尾身茂会長も「新規感染者数はこれからも大事な一つの要素」としつつも、「重症者数や入院者数などを含めた医療の逼迫程度を、より重視することを出口戦略の基本とするべきではないか」と述べた。
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