同情少ないガニ大統領 複雑な多民族国家を束ねられず

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バンコク=乗京真知
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 米国暮らしが長く、学者出身のガニ大統領の政権基盤は、2014年の発足当初からぐらついていた。米国の支援で大統領選を2度競り勝ったが、政敵と溝が深まり内政がまひ。意に沿わぬ閣僚を次々と更迭した。汚職を排除できず、国際援助が賄賂となって消えた。

 軟弱な政権を尻目に、タリバーンは着々と地歩を固めた。自爆テロを用いて政情不安をあおる一方、自らの支配地域では厳格な罰則で治安を引き締め、支持を得た。米軍や政府軍の誤爆のたびに、親米政権打倒を掲げるタリバーンの大義が一定の説得力を持った。

 ガニ氏は唯一の後ろ盾だった米国とも関係が悪くなった。停戦交渉にあたり米国は、タリバーンに権力を分けて政治に引き込む案をガニ氏に提示したが、ガニ氏は手にした権力を離さなかった。

 政府高官によると、ガニ氏と米特使が執務室で怒鳴り合い、米特使が「タリバーンの方がよほど話が通じる」と憤激した場面もあったという。

 米国はかたくななガニ氏を…

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この記事を書いた人
乗京真知
福井総局長兼国際報道部員
専門・関心分野
国際報道、組織犯罪、動植物、文化財
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