英国防相、米軍のアフガン撤収を批判 テロの脅威を懸念
ロンドン=金成隆一
英国のウォレス国防相は13日、英スカイニュースのインタビューに応じ、アフガニスタンからの米軍撤収を批判した。反政府勢力タリバーンのアフガニスタンでの権力掌握は、世界の脅威となる過激派の温床を新たに生み出す可能性があるとも述べた。
英スカイニュースによると、ウォレス氏は、駐留米軍の段階的な撤退方針を決めた、米国のトランプ前政権とタリバーンとの2020年2月の和平合意について「誤りだった」「腐敗した合意」との認識を示したという。ウォレス氏は「あのようなやり方をしたのは誤りだと感じたし、国際社会として私たちがその結果に対応することになる」と述べたという。
また、ウォレス氏は、撤収後に「おそらく(国際テロ組織)アルカイダが(アフガンで)息を吹き返すだろう」との見方を示し、「失敗国家」がテロ組織の温床となり、英国などの安全保障上の脅威になることへの懸念を示した。
2021年1月に発足したバイデン政権は前政権の方針を踏襲し、駐留米軍の撤退を進めている。
英政府は、アフガンに残っていたとみられる約4千人の英国人と、英国に通訳などとして協力してきた現地スタッフの退避のため、英軍部隊約600人を現地に派遣した。(ロンドン=金成隆一)