59歳で利き腕の自由を失った画家が歩んだ逆転人生

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寺沢知海
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 画家の勝間としをさん(70)は11年前、突然の病で、利き腕側の左半身の自由を失った。「絵が描けないなら死んでしまいたい」。一時は生きる気力も失いかけたが、その7年後、長年の夢だった個展を開くことになる。きっかけは1枚の猫の絵からだった――。

 子どもの頃から絵が得意だった。中学時代には自作のSF漫画が同級生の間で評判になり、あだ名は「マンガ」に。卒業後は「絵で生きていく」と決め、高校には進学せず、絵の専門学校に入った。

 18歳で「週刊少年マガジン」で漫画家デビュー。「巨人の星」や「あしたのジョー」といった作品と肩を並べた。しかし、人気作には恵まれず、約3年で掲載は途絶えた。それでも「自分には絵しかない」と、その後も専門学校の講師や、広告のイラストなど、絵だけを頼りに生きてきた。

 2010年12月。大阪市の自宅で徹夜で絵を描き終えた時、手が震え倒れた。脳梗塞(こうそく)だった。目が覚めると左半身の感覚を失っていた。利き手で絵筆を握ることもできなくなった。この時、59歳。医師からは「もう絵の仕事は無理だ」と諭された。

 でも、諦め切れなかった。パ…

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