下田沖で3例目の「海龍」か 海洋調査会社が発見し撮影
静岡県下田市須崎沖の海底で旧日本海軍の特攻潜水艇「海龍」とみられる船体が見つかった。海洋調査会社「ウインディーネットワーク」(本社・下田市)が13日に発表した。
周辺海域では1999年と2015年にも海龍とみられる船体が見つかっている。同社が海龍を発見するのは15年に続いて2回目となる。
今回は、7月8日に恵比寿島の南西約800メートル付近の海底を音響ソナーで探査中に発見し、水深約35メートルに沈んでいた「海龍」とみられる船体を水中ドローンで撮影した。船体は長さ約17メートル、幅約1メートル。主翼や尾翼はなく、船尾のスクリューは欠けているとみられる。
「海龍」は太平洋戦争末期の1945年4月に本土決戦に備え、横須賀の海軍工廠(こうしょう)と工作学校などで約230隻が建造された。水中速力約10ノットの2人乗りで、開発当初は局地防御用の潜水艇として建造された。
だが、終戦直前には艇首に炸薬(さくやく)を搭載し、人間魚雷「回天」や水上艇「震洋」とともに、敵艦隊に突撃する特攻兵器となった。伊豆半島には多くの特攻基地が設置され、下田には海龍が12機配備されたという。
ウインディーネットワークは、15年前から全国の水中文化遺産の調査を行っている。東京大学との共同研究チームとして、十和田湖に墜落した旧日本陸軍の練習機とみられる機体を発見し、引き揚げに協力するなど、戦争遺跡の保存に力を入れている。
記者会見した同社の杉本憲一社長は「戦後76年たち、時代とともに記憶や遺産は風化していくが、海底探査の技術を生かし、風化に抵抗していくのが役目」と話し、今後も活動を続けていく決意を示した。