新型コロナ感染妊婦が増加、1日3件の受け入れ要請も

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神宮司実玲 後藤一也
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 新型コロナウイルスの「第5波」で、首都圏の医療機関では、感染した妊婦の受け入れが増えている。病床を増やすなどの対応に追われている。感染拡大の収束は見えておらず、医療現場の危機感は強い。

周産期医療の破綻

 「コロナ禍の周産期医療が破綻(はたん)してきている」

 日本大板橋病院(東京都板橋区)の川名敬主任教授(産婦人科)はそう話す。中等症と重症の患者用の病床が50床以上ある。感染した妊婦も、コロナ患者のための専用病棟で受け入れている。

 数カ月に1回ほど、感染したかかりつけの妊婦が入院するケースはこれまでもあった。それがいまは月2人ほどに。家庭内で感染したとみられるケースも目立つ。

 「感染した妊婦の出産には対応できない」と、ほかの医療機関からも出産を間近に控えた妊婦が搬送されてくる。ただ、同院でもコロナ患者が急増して満床となり、受け入れできなくなってきたという。

 こうしたケースでは、妊婦だけでなく、生まれてくる赤ちゃんにも特別の対応が必要になる。母子の接触を避ければ、赤ちゃんへの感染を防げる。それでも母子感染の可能性はゼロとは言えず、PCR検査などが必要だ。数日間は隔離の対象となり、新生児室で隔離のベッドが必要となる。

 「感染した妊婦さんから生まれた赤ちゃんのベッドが逼迫(ひっぱく)している」と川名さんは言う。「感染した妊婦と、新生児のベッドを確保するのに限界がくるかもしれない。妊婦さんは、感染しないために一刻も早くワクチンを接種してほしい」

多い日は1日に3人の受け入れ要請

 聖マリアンナ医科大病院(川崎市)でも、7月下旬から感染した妊婦の受け入れ要請が増え、病床の確保が難しくなってきた。このため、川崎市内の関連病院に、新たに病床を確保した。

 市内では連日500人近い感染者が確認されている。長谷川潤一教授(産婦人科)によると、感染した妊婦の受け入れ要請は、首都圏で感染が拡大した昨年末ごろの「第3波」でも2日に1~2人ほどだった。それがいまは多い日には1日に3人ほどになっている。

 長谷川さんは「1波、2波のころは感染しても無症状の人が多かったが、いまは症状がある人が増えている」と話す。妊娠中の感染は重症化のおそれが高まるとされ、神奈川県は症状がなくても入院を原則としている。だが、「現状では、無症状ならば自宅療養とせざるをえない」という。

 切迫早産など、緊急性の高い…

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