接種後に30歳息子が死亡、涙ぐむ父 因果関係は不明

福冨旅史 東郷隆
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 米モデルナ社製の新型コロナウイルスワクチンに異物が混入していた問題で、広島県南部の男性会社員(30)が、国が接種を見合わせたワクチンと同じロット番号のものを接種した後に死亡していたことが分かった。男性の父親(63)が朝日新聞の取材に応じ、長男を亡くした無念を語るとともに、国に因果関係の早急な解明を求めた。

 「まさか息子が、こんな形で……。若いといえど、ワクチンを受けないといかんぞと勧めたのは私なんです」。父親は涙ぐみながらこう語った。県によると男性は、厚生労働省が使用を見合わせているワクチンの接種後に死亡した男性2人のうちの1人という。8月22日に打った2回目のワクチンが、その4日後に見合わせの対象となった。

 父親によると、男性は接種翌日の8月23日に発熱で仕事を休んだが、その際は解熱剤などで熱は下がったという。24日は回復して出勤。自宅で母親と夕食をとり、午後9時ごろに自室へ戻った。だが25日朝、出勤時間になっても起きて来ないため母親が部屋へ行くと、布団の上でうつぶせの状態で亡くなっていたという。基礎疾患やアレルギー歴はなかった。

 父親は、使用見合わせとなったワクチンのロット番号が長男のものと同じと知り、「信じられなかった」という。「死因はワクチン以外考えられない。なぜ異物なんかが混じっていたのか。国は対処が遅すぎる」。ワクチンは必要だと考えるが、「安全が伴っていないと何の意味もない。息子は亡くなる必要がなかった。同じように亡くなる人が出ないように国は調査を急いでほしい」と訴える。厚労省は死亡と接種の因果関係は不明とし、専門家による分析を進めるとしている。(福冨旅史、東郷隆)

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