シナリオ崩れる首相 二階氏切りと岸田氏つぶしの成算は

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与党担当キャップ・池尻和生
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 菅義偉首相自民党総裁任期満了に伴う総裁選をめぐり、党内の駆け引きが緊迫度を増している。自らの再選に向けて執念を燃やす首相は、次から次へとカードを切るが、思惑通りに進むかはまったく見通せない状況だ。

 党内に大きな波紋を呼んだのが、30日午後の首相と二階俊博幹事長の会談だった。首相官邸で二階氏と向き合った首相は、幹事長の交代を切り出し、それを二階氏が容認したことが永田町に伝わった。

 首相はなぜ突然、「二階氏切り」にかじを切ったのか。その背景には、首相が描いてきた総裁選の再選シナリオの崩壊がある。

 首相や党執行部は当初、衆院議員の任期が10月21日に迫るなかで9月5日閉幕の東京パラリンピック後に衆院を解散し、衆院選を勝ち抜いたうえで総裁選を「無投票再選」で乗り切りたい考えだった。

 首相の再選は、二階氏ら党執行部のほか、党内最大派閥の細田派に強い影響を与える安倍晋三前首相や、第2派閥の麻生派を率いる麻生太郎副総理兼財務相らが支持しており、派閥の数の論理から圧倒的に有利な構図だったためだ。

 しかしそれは、8月22日に投開票された横浜市長選の敗北で瓦解(がかい)する。首相のおひざ元である横浜で、首相が全面的に支援した候補が野党系候補に惨敗。菅政権になってからの4月の衆参3選挙の「全敗」や東京都議選の低迷が重なり、党内の若手らからは一気に「選挙の顔」としての首相に不満の声が噴出した。

 それでも二階氏は24日の記…

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    小室淑恵
    (株式会社ワーク・ライフバランス社長)
    2021年8月31日18時59分 投稿
    【提案】

    今までの政治の在り方と決別するのかもしれないという期待を持たせる決断だ。ここでもし、党三役に、女性議員と、デジタルに強い若手議員を据えることが出来たら、国民はあっと驚き、その変化の姿勢は支持するだろう。(念のためだが、ここでいう若手議員とは

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