尾身氏「しっかりとメッセージ発信を」 菅首相に直談判

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 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は30日、首相官邸で菅義偉首相と面談し、「国民に理解と協力をいただくため、政府としてしっかりとしたメッセージを発信してもらいたい」などと求めた。過去にない感染爆発に直面してもなお、首相はワクチン効果による高齢者の感染者数減といった「楽観論」を強調している。専門家らは国民と危機感を共有するよう釘を刺した形だ。

 同席した西村康稔経済再生相によると、尾身氏らは「危機感を共有するために、オリンピックを含め、国民の複雑な心情に寄り添ったメッセージを発信すること」を求め、小池百合子東京都知事ら自治体の首長と連携した「ワンボイス」での発信を進言した。

 また、医療現場では逼迫(ひっぱく)が起きており、「これまでのコロナとの戦いの中で最も危機的な状況」と首相に説いたという。飲食店に加え、職場や学校、家庭などでも感染が広がっているため、検査体制の整備や、医療提供体制の強化なども求めたという。

 これに対し、首相は「ご提案をしっかりと受け止めて対応していきたい」と応じたという。面談には、尾身氏のほか、厚生労働省に助言する専門家組織の脇田隆字座長、内閣官房参与の岡部信彦・川崎市健康安全研究所長が参加。数日前に尾身氏側から西村氏を通じて要望していた。

 尾身氏は面談後、記者団に対し、高齢者へのワクチン効果を認めたうえで、40~50代を中心に入院や入院調整中の人、自宅療養の人が増えているとし、「新たな医療の逼迫という状況が来ている」と述べた。「非常に厳しい局面に入っていると申し上げた。国、自治体、一般市民、専門家が一体になって、ともかく早く、今の上昇気流に歯どめをかけるということが必要だ」とも語った。

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