フェンシング女子エペの佐藤希望は国際オリンピック委員会(IOC)が模範的なアスリートとして宣伝したい人だ。間違いない。
バッハIOC会長は「東京大会は史上初めて最も男女の参加人数がほぼ同じになる」と、事あるごとに力説してきた。
合言葉は「ジェンダー平等」。実際、大会公式サイトのエントリーをみると、1万1281人のうち、女性は5399人で、47・8%。ほぼ半々になった。
佐藤は前回の2016年リオデジャネイロ大会は1児の母として出場し、ベスト8入りを果たした。準々決勝で敗れて取材ゾーンに現れたとき、その顔は晴れやかだった。ただ、引っかかる言葉があった。
今後について聞くと、「しばらくは、ママに戻ろうかな」。期間限定のニュアンスを感じ、記事に「悔いなき花道」と書かなかった。
勘は当たった。17年に次男…