「後手後手」の組織委、解任劇の舞台裏 式はどうなる?

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斉藤佑介 野村周平

 「開会式が目前に迫る中、このような事態となり、多くの関係者、都民、国民の皆さんに深くおわび申し上げます」

 22日午前11時40分すぎ、大会組織委員会の橋本聖子会長は表情をこわばらせて会見に臨んだ。本来は開幕前日の所感などを述べる場だったが、開閉会式のディレクター・小林賢太郎氏の「解任会見」に様変わりした。

 組織委が「ユダヤ人大量惨殺ごっこ」というコント内の小林氏のセリフに対し、ネット上で批判が集中しているのを把握したのは、21日深夜。そこから事態は慌ただしく動いた。

 22日午前4時前、米国のユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が非難声明を出したことで組織委の受け止めは深刻さを増し、同日朝から対応に追われた。

 背景には、開会式で作曲を一部担当したミュージシャン小山田圭吾氏が3日前に辞任したときの経緯があった。組織委は一度は続投を決め、発覚から辞職までに4日以上要したことで「後手後手の対応」と批判を浴びた。

 橋本会長は会見で解任の理由を問われ、「外交上の問題も色々ある。早急に対応しないといけないということで解任の運びとなりました」と説明。「次々と多くの問題が発覚しており、後手後手にまわっているという印象が残っていることを反省している」とし、早期の幕引きを狙ったことを示唆した。

 ただ、起用の段階でこのセリフを把握していたのかと問われると、橋本会長は「まったく存じ上げておりませんでした」とした。組織委は小山田氏の問題が発覚した後、ほかの演出担当に過去の言動などについて聞き取り調査を実施したが、問題のセリフは確認できなかったという。会見に同席した武藤敏郎事務総長は、「調査は実際問題、困難だった」と述べた。

 開会式の開始まで40時間を切っての解任劇。「大荒れの開会式」「度重なる恥の中で最新のものだ」などと海外メディアもこぞって報じた。

 小林氏は2019年12月に…

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    前田直人
    (朝日新聞デジタル事業担当補佐)
    2021年7月22日23時9分 投稿
    【視点】

    五輪をめぐって相次いだ辞任・辞退・解任の連鎖の多くは、人権感覚にかかわるものでした。組織委のマネジメントの問題は深刻ですが、それ以前に、これだけどこを切っても何かしらの問題が出てくるような状況を、どうみたらよいのか。政治取材の経験でしばしば

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