天皇陛下がバッハ会長らと面会 出席者絞り、飲食もなし

杉浦達朗

 天皇陛下は22日、皇居・宮殿で、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長らIOC関係者19人と面会した。陛下は英語で「アスリートの皆さんが健康な状態で安心して競技に打ち込み、その姿を通じて、新しい未来へと希望の灯火がつながれる大会となることを願います」とあいさつした。

 1964年の東京五輪では、昭和天皇と香淳皇后がIOC関係者や各国元首らを皇居に招いて茶会や昼食会を開いた。だが、今回は新型コロナ感染防止のために出席者を絞り、飲食も控えた。皇后雅子さまも同席しなかった。

 バッハ会長は、開会式について「平和、連帯感、耐性力と希望のメッセージを発信することができると確信しています」として、日本国民に感謝していると述べた。

 23日夜に国立競技場東京都新宿区)で始まる開会式には、皇室からは天皇陛下だけが出席し、開会宣言を行う。(杉浦達朗)

 天皇陛下は22日、皇居・宮殿で、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長らIOC関係者19人と面会し、おことばを述べた。全文は次の通り。

   ◇   ◇

 第32回オリンピック競技大会は、明日開会式を迎えます。

 現在、世界各国は、一昨年末より世界中を襲った新型コロナウイルス感染症の感染拡大という大変厳しい試練に直面しています。人が集い、つながることが簡単ではない状況が続いています。

 そのような状況の中、新型コロナウイルス感染症に対する万全の対策を講じながらの大会運営は決して容易なことではないと思います。それぞれの競技会場の現場などで大会運営に携わる方々をはじめ関係者の皆さんのご尽力に深く敬意を表します。

 オリンピックが長く、そして広く世界で支持されてきたのには、平和と調和というオリンピズムの精神に理由があると思います。私自身にとって、1964年の東京オリンピックの閉会式で各国選手団が国ごとではなく、混ざり合って仲良く行進する姿を目にしたことが、世界の平和を願う気持ちの源となりました。

 東京2020大会のビジョンは、「スポーツには世界と未来を変える力がある。」です。スポーツに挑むアスリートや、そのアスリートを支えるご家族や関係者の姿は、わたしたちに様々なことを感じさせてくれます。この大会は、新型コロナウイルス感染症に直面する中で迎えます。また、夏の盛りの熱波にも注意が必要です。この大会が、皆さんをはじめとする関係者の連携による感染防止対策に万全が期されることにより、アスリートの皆さんが健康な状態で安心して競技に打ち込み、その姿を通じて、新しい未来へと希望の灯火がつながれる大会となることを願います。皆様と共に全てのアスリートのご健闘を祈ります。

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