カブトムシ幼虫、意外な穴掘り 「でんぐり返し」で回転

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杉浦奈実
【動画】カブトムシの幼虫、どうやって掘り進むの?大学院生の足立晴彦さんが独自の装置で観察してみると…
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 大阪大学の大学院生、足立晴彦さんらのグループは、ずんぐりと太いカブトムシの幼虫が、硬い地面にどうやって穴を掘るのかを世界で初めて突き止めた。自作の装置を使って見えたのは、幼虫が「でんぐり返し」のように穴を掘る行動だった。

 足立さんは、カブトムシの角の形について研究するため、幼虫を飼っていた。幼虫を見ていると、穴を掘るのには不向きではないかと素朴な感想を持った。

 ミミズのように細い体であれば、キリのように土に穴をあけ、体を波打たせて進めそうだが、カブトムシの幼虫はずんぐり太くて頭が丸く、脚も短い。土をかき分けたり、押しのけたりするのは難しそうだ。

 「土の中の移動には適していないように感じて、違和感を持った」

 そこで足立さんは、幼虫の太さに合わせた透明のケースを使い、ケースの側面から土の中の様子を観察することにした。

 実際に幼虫を潜らせると、意外なことがわかった。

 ミミズのように頭からまっすぐ土に潜っていくのではなく、でんぐり返しを繰り返すように連続で回転しながら土に潜っているように見えたのだ。

 ただ、土が幼虫の体にかかってしまい、動きを詳しく追いにくかった。

 土の代わりに透明なゲルやガラスビーズも試したが、潜ってくれないなどうまくいかない。考えついたのが、土の代わりに、短く切った紙ストローを敷き詰めた装置だ。

 幼虫の様子を、ケースの側面からよく見ることができるようになった。ビデオで幼虫が潜る様子を撮影し、「気門」という体の側面にある点の動きを、コンピューターソフトで追った。

 幼虫の動きには、土の硬さも関係しそうだ。足立さんは太いタピオカ用ストローを敷き詰めることで、隙間が大きな軟らかい地面を、普通の太さのストローを隙間なく敷き詰めて硬めの地面を再現した。

 軟らかい地面を再現した装置では、幼虫は頭を下の方に向け、体を波打たせながらまっすぐ掘り進んだ。

 一方、硬い地面を再現した装置では、最初に足立さんが気づいたときと同じで、でんぐり返しのように、グルグルと連続的な回転運動をして掘り進んでいた。

 この行動の理由は何なのか…

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