コロナワクチン 打たずにすむなら… 専門家の考えは?

有料記事

聞き手・阿部彰芳
[PR]

 新型コロナウイルスのワクチンを接種すれば、直後に打った部分が痛んだり、熱が出たりする頻度は高い。でも、そもそも若くて健康なら、感染しても重症化はまれなはず。打たずにすむなら……と思いたくもなる。ワクチンをどう考えたらいいか、予防接種に詳しい国立国際医療研究センター予防接種支援センター長の氏家無限さんに聞いた。

 どこで感染したか身に覚えのないのに、発症して入院する。こうした人は今の流行状況で珍しくありません。とても気をつけていて、買い物以外では外出していないという人でも感染しているケースがあります。

 ワクチンを打たず、コロナにも感染しないで、生活を続けられる可能性はもちろんゼロではありません。ただ、ほとんどの人が免疫をつけない限り、このパンデミック(世界的大流行)は収束しません。何かの機会に感染するリスクの高い状態は、当分の間、続くと予想されます。

 確かに、若い人は高齢者や持病のある人と比べて重症化や亡くなるリスクが低く、ワクチンの必要性は相対的に下がります。

 ただ、重症化のリスクはゼロではありません。症状が軽かったとしても、後遺症のように長引くことがあります。感染によって、子どもが学校に行けない、仕事を休まざるを得ない、といった社会生活への影響が出ることもあります。医学的には、予防できることは予防することが、望ましいと言えます。

 国内で使われているファイザー社とモデルナ社のワクチンの有効性に、文句を言う人はいないと思います。急速に広がるデルタ株には、感染や発症を防ぐ効果が落ちる可能性がありますが、重症化予防の高い効果は維持されています。

 一方、発熱や接種部位の痛み、倦怠(けんたい)感などが出るケースは少なくありません。数日でよくなる人がほとんどですが、季節性インフルエンザのワクチンと比べれば、副反応の頻度や程度は高いと言わざるをえません。

 ファイザー社とモデルナ社のワクチンでは最近、若い男性を中心に心筋炎(心臓の筋肉に起きる炎症)と心膜炎(心臓を包む心膜に起きる炎症)の副反応が新たに確認されました。頻度はだいたい10万人に1人です。

 長期的に見ていく必要はありますが、ほとんどの人は、重症化せずに対症療法で自然によくなっています。ただ、まれに突然死の原因にもなります。

 心筋炎、心膜炎は、2万人弱での接種を評価した治験の段階では報告されていませんでした。ただし、まれな副反応は、ワクチンが承認されて、大勢の人に打って初めてわかるという側面があります。それを捉えるためには、接種後に体調不良が起きたら感度よく報告を受け、評価、公開するサーベイランス(監視)が非常に重要です。

 アストラゼネカ社とジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンも、非常にまれな血栓症の副反応が見つかりました。

 ロシア製の「スプートニクV」も、この二つのワクチンと同様にウイルスベクターを使っています。しかし、他の二つのワクチンでみられる副反応が出ていません。

 医学的に見て本当に副反応が…

この記事は有料記事です。残り687文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

新型コロナウイルス最新情報

新型コロナウイルス最新情報

最新ニュースや感染状況、地域別ニュース、予防方法などの生活情報はこちらから。[もっと見る]