レクサス高輪でも不正車検 数値改ざんなど565台
トヨタ自動車は20日、子会社が営む東京の有力販売店で565台の車検不正が見つかったと発表した。パーキングブレーキの数値を改ざんするなど道路運送車両法に違反する行為があった。車検をめぐる不正は3月、愛知のトヨタ車販売店でも見つかっており、トヨタは全国的な調査を進めている。
トヨタの国内販売事業本部長である佐藤康彦氏らが記者会見し陳謝した。「スピード車検」を全国の販売店に促してきた経緯を踏まえ、「時間が目的になっていた」と述べた。
不正が見つかったのは、東京都港区にある販売店「レクサス高輪」。東京での販売を担うトヨタの完全子会社、トヨタモビリティ東京が営む。2019年6月以降に担った1864台のうち565台で不正があった。
スピードメーターの精度や排ガスの成分について必要な検査を実施しなかったり、パーキングブレーキのきき具合やヘッドライトの明るさなどについて検査の結果を改ざんしたりしていた。不正には検査員4人が関わっていた。
修理に時間をかけたくないとの動機から検査結果を基準を満たすように書き換えた例があった。会見に同席したトヨタモビリティ東京の関島誠一社長は「予定の時間で仕上げることを最優先にしたことが不正につながった」と述べた。
レクサス高輪での不正は6月、国土交通省関東運輸局が監査で見つけ、処分の必要性も含め調べている。
先立つ3月には、独立資本のネッツトヨタ愛知が愛知県豊橋市で営む「プラザ豊橋」での5158台の不正が、国交省中部運輸局の監査で表面化していた。この店は民間車検の指定取り消し処分を受けた。
トヨタはこれを踏まえ、東京を含む全国の販売会社に点検を促したが、見逃されていた。新たな不正が発覚したのを受け、トヨタ本体が関わる形での再調査を全国で進めているという。
民間での車検は、設備や管理体制など一定の要件を満たした事業者が国から指定を受けて行う。不正があれば、各地の運輸局長は、その内容に応じて処分を検討する。