「お袋!」聞こえぬ返事 土石流、2週間経て判明の身元
静岡県熱海市の土石流は17日、発生から2週間になった。県はこの日、15日に遺体で見つかっていた1人について、草柳笑子(えみこ)さん(82)=同市伊豆山(いずさん)=と確認されたと発表した。また、市などは2人の遺体が新たに見つかったと発表。ただ、今回の災害の死者と認定しておらず、一連の死者は13人のまま。依然15人の行方がわかっていない。水道や道路などインフラも完全復旧していない。
土石流が起きた伊豆山(いずさん)地区は、住宅が流されるなど131棟が被害を受けた。市は被災地域について、まだ土砂災害の恐れがあるとして、避難情報のうち最も高い警戒レベル5の「緊急安全確保」を続けている。斜面の多い現場での不明者の捜索は、重機の投入がようやく進んできた。
市が用意したホテルで、476人が避難生活を続けている。週明けには別のホテル2カ所に移る。公営・民間住宅137戸で受け入れ準備が進められている。
また、発生直後に1千戸以上あった断水は17日現在、72戸で復旧していない。国道135号も通行止めのままだ。公的支援を受けるために必要な自宅などの罹災(りさい)証明書の手続きも始まっていない。市は家屋の被害調査にドローンの空撮も活用していく。
一方、災害ボランティアについては、市社会福祉協議会などが発生2日後から県東部在住者を対象に募集し、15日正午時点で3790人が登録。ただ、二次災害の恐れもあり活動開始のめどがたたないとして、登録を一時停止している。
「もう1、2分でも早く気が付けば…」
静岡県熱海市の土石流の発生から2週間たっても、行方不明者はなお15人を数え、捜索が続く。建設業の草柳孝幸さん(49)は、行方不明だった同居の母親、笑子(えみこ)さん(82)の身を案じ続けてきたが、見つかっていた遺体の身元が17日、笑子さんだったと発表された。孝幸さんは「見つかってほっとしている。良かった」と話した。
孝幸さんは土石流発生の数日…