山間の古民家に日用雑貨店開く 東吉野のNPO

福田純也
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 奈良県東吉野村のNPO法人「東吉野村まちづくりNPO」が、活動拠点にしている同村木津(こつ)に「オオカミの里『日用雑貨店』」を開いた。山間へき地でも高齢者が安心して暮らせる地域づくりをめざしており、移動手段のない客を送迎するサービスもある。

 雑貨店は30年ほど前まで酒店の精米所として使われていた木造2階建ての建物。廃屋同然だったのを改修し、1階部分約70平方メートルを店舗に一新した。

 商品はNPOが仕入れ、洗剤や歯ブラシなどの日用品のほか、介護用品、米、タマネギやジャガイモ、カボチャなどの野菜類がずらりと並ぶ。一般家庭から不用な食器や調理器具、衣服などの提供を受け、一緒に並べている。今月10日の開店日は約30人が買い物に訪れたという。

 営業は金曜日の午前10~午後3時だが、NPO法人が困り事の相談や文化活動を通じた交流の場として開設している「あいの家コーヒーお茶ハウス」が道を挟んだ向かいにあり、火~木曜日なら、スタッフに声をかければ買い物もできる。

 日用雑貨店の開設に至った要因は、コロナ禍で車で商品を移送するサービスがしにくくなったのが一つ。そこで地元に店があればと、社会福祉法人丸紅基金(東京)の助成事業(2020年度)に応募。採択され、古民家の改修費200万円が受けられることになった。

 まちづくりNPO理事長の辻本恵則(よしのり)さん(72)は「日用雑貨は暮らしに欠かせない。村外でしか購入できないなら地域に住み続けられないので、何としても維持していきたい」と話した。

 この法人は2006年に発足。20~80代のスタッフ55人が古民家など5棟を使い、介護、移送、弁当配食のサービスや、一人暮らしの人が泊まれる小規模多機能ホームの運営などを通じて、高齢者や障害者らの生活支援に取り組んでいる。(福田純也)

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