中小企業3団体、最賃引き上げに猛反発「決め方に疑問」

専門記者・木村裕明
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 雇い手が働き手に最低限払う最低賃金(最賃)を全国加重平均で28円引き上げる目安の決定を受け、日本商工会議所など中小企業3団体は14日、連名でコメントを発表した。「東京で4回目となる緊急事態宣言が発出されるなど、先が見通せない経済情勢の中、昭和53(1978)年度の目安制度開始以降で最高額となる大幅な引き上げとなったことは極めて残念。到底納得できるものではない」などと猛反発している。

 「中小企業・小規模事業者の窮状、とりわけ困窮している飲食・宿泊などの事業者の実態や痛みを理解していない結論と言わざるを得ない。多くの経営者の心が折れ、廃業が更に増加し、雇用に深刻な影響が出ることを強く懸念する」とも訴えている。3団体は4月、最賃について初めて共同記者会見を開き、コロナ禍における経済情勢を踏まえ、現行水準を維持するよう強く主張していた。

 3団体は、厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会による目安の決め方にも疑問を呈した。同審議会は「本来、各種指標やデータに基づき、公労使による真摯(しんし)な議論によって、納得感のある結論を導き出すべき場」だとした上で、「骨太の方針に記された最賃引き上げの政府方針を追認するような結論となったことは、審議会及び最賃決定のあり方自体に疑問を抱かざるを得ない」と指摘した。

 今後、中央審議会の目安を参考に実際の引き上げ幅を決める地方の審議会では「中小企業・小規模事業者や地域経済の窮状をしっかりと考慮した検討が行われることを切に願う」と強調。「コロナ禍の影響に苦しむ中小企業・小規模事業者への支援や雇用対策に万全を期されたい」と政府にクギも刺した。(専門記者・木村裕明)

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