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熱海の盛り土、11年見過ごしか 県「届けと違う造成」

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 静岡県熱海市で起きた土石流災害で、起点付近にあった盛り土を2010年7月に撮影した写真を朝日新聞が入手した。写真では、この時点で法令基準を超える高さの盛り土が造成されていたことがうかがえる。災害リスクが高い状態が11年間にわたって見過ごされていた可能性がある。難波喬司副知事は写真について「熱海市への届け出とは異なり、不適切な盛り土が造成されている」と話した。

 災害防止が目的の県条例に基づく基準では、盛り土の高さは原則15メートル以内。だが県はこれまでに、標高350~400メートルに基準の3倍を超える最大約50メートルの盛り土があったと推定している。盛り土の崩落が被害を拡大させたとみているが、不適切な造成がされた時期は不明としていた。行政の対応が適切だったかどうか調べる方針を示している。

 朝日新聞が入手した写真は、東京都内の男性会社役員と熱海市の父(故人)が10年7月と12月、ハイキング中に数十枚撮影した。

 当時、土地を所有していたのは神奈川県小田原市の不動産会社。同社は07年3月、標高365~380メートルに階段状に3段の盛り土を造成すると熱海市に届け出ていた。

 だが、造成中の10年7月の写真には、標高400メートル付近まで3段を超える盛り土が写っていた。同年12月に撮影された写真のほか、11年1月末に撮影されたグーグルアースの衛星画像でも似たような状態が確認できる。

 朝日新聞は、不動産会社の代表に取材を申し込んだが、13日までに回答は得られていない。盛り土があった土地は11年2月に東京都内の持ち株会社のオーナーが取得し、現在も所有している。オーナーの代理人弁護士は「盛り土があったとは知らなかった」とし、取得後に行政の指導を受けたことはないとしている。

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