東京都新宿区の明治神宮外苑で2016年11月、ジャングルジム形の木製展示作品が燃え、中で遊んでいた男児（当時5）が死亡するなどした火災で、重過失致死傷の罪に問われた日本工業大の元男子大学生2人（当時18、19歳）の判決公判が13日、東京地裁であった。下津健司裁判長は「わずかな注意を払えば火災を十分に予見できた」として、いずれも禁錮10カ月執行猶予3年（求刑・禁錮1年）の判決を言い渡した。

　判決によると、投光器が木くずに触れて火災が起き、男児を助けようとした父親も重傷を負った。

裁判長「重大な過失に該当」　最後に説諭も

　判決は、投光器が「火災発生の危険性の高い器具」と指摘。火災当日に監視当番だった2人は「投光器の白熱球が発火させるほど高熱になることや、木くずと接触する可能性を認識していた」と判断。そのうえで、投光器を点灯させたまま放置しない注意義務があったのに怠ったことは「重大な過失に該当する」と結論付けた。

　一方で、火災が起きた背景として「教員や上級生から適切な指導がなかった。被告のみを非難するのは相当でない」とも述べた。

　下津裁判長は判決の最後に「1人の命が亡くなったことの重大さをどうか忘れないでほしい」と被告に語りかけた。

　大学側などに損害賠償を求めた両親は20年、学生への安全教育の徹底などを条件に大学と和解した。（新屋絵理）