東京五輪の年は…オリックス・阪神の日本シリーズなるか

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佐藤祐生 内田快 伊藤雅哉
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 今年の日本シリーズ関西対決や! プロ野球はパ・リーグで過去2年連続最下位だったオリックスバファローズが首位に立つ大躍進を見せ、2005年以来の優勝をめざす阪神タイガースも首位を維持する。日本シリーズで関西決戦が実現すれば、阪神と南海ホークスが戦った1964年、前回東京五輪の年以来57年ぶりとなる。くしくも、今年も東京で五輪が開催される……。果たしてこのつながりが、「関西の夢」を後押ししてくれるやろうか。頼んだで! ほんまに!(佐藤祐生、内田快、伊藤雅哉

気配り、中嶋監督の手腕

 1996年以来、12球団で最も優勝から遠ざかっているオリックスが、今季は首位を突き進む。この快進撃は、何より中嶋聡監督の手腕が大きい。

 球団OBで西武、日本ハムなどでもプレーし、プロ野球タイ記録の1軍実働29年。昨季途中、2軍監督から監督代行になり、今季監督としてチームを率いる。「僕らは最下位から始まったチャレンジャー。色んなことをしていかないといけない」。10年目の安達了一を遊撃から二塁にコンバートし、高卒2年目で長打が魅力の紅林弘太郎を遊撃手に抜擢(ばってき)した。本番での集中力を高めるために試合前のシートノックもしなくなった。

 不振に悩む選手を察して声をかけるなど、細かい気配りも欠かさない。2軍時代から監督に目をかけられ、30歳となった6年目の今季リーグ3位タイの18本塁打を放つ杉本裕太郎は苦しかった時、「年間通してずっといい状態が続くわけがない。しゃあないから。粘っていけよ」と励まされ、前を向いた。「悪くなった時、ほしい言葉をいつも言ってくれる。ありがたいです」

 先発陣に対しても、疲れが見えたタイミングで登板間隔をあけて休養を設ける。球数は最も多くて山岡泰輔の124球と無理をさせない。

 20代の若い選手が多いチーム。「なんとか取り返そうとする姿をみせてくれたら、僕は我慢できます」と監督。精彩を欠く場面が目立っても成長を信じて起用を続ける。

 元々、東京五輪日本代表に選ばれたエース山本由伸、主砲吉田正尚という柱がいた。「日替わり」で始まった打線は出塁率の高い福田周平らを吉田、杉本らで本塁にかえす形ができあがった。打率は昨季リーグ4位、総得点は最少だったが、11日現在打率2割5分4厘はリーグトップ、354得点は2位に。投手陣は山本に、9勝を挙げる高卒2年目の左腕、宮城大弥ら若手たち。大リーグから復帰した平野佳寿らベテランも踏ん張り、チームを支えている。

 セ・パ交流戦で11年ぶりの優勝を決めても、中嶋監督は「特に感想はありません。まだまだ試合は続きますからね」と浮かれない。イチロー氏らとともに貢献した96年以来、四半世紀ぶりの優勝。そこだけしか見ていない。

サトテル、中野らルーキーが原動力

 阪神は4月上旬から首位を1度も譲っていない。11日現在、先発では青柳晃洋が防御率1・83、抑えのスアレスが25セーブでともにリーグ1位と投手陣が安定しているが、原動力は何と言っても新人たちだ。

 ドラフト1位の佐藤輝明(近大)は20本塁打、51打点で、いずれも「猛虎打線」で最多だ。なかでも本塁打数は新人左打者では、1946年の大下弘(セネタース)に並ぶ歴代1位。リーグトップの117三振を喫しているが「常に1本でも多くホームランを打ちたい」と言う22歳の豪快なスイングの裏返しでもある。

 「攻」を引っ張るのが佐藤輝なら、守備と走塁で魅了するのがドラフト6位の中野拓夢(たくむ)(三菱自動車岡崎)。171センチと小柄だがリーグ3位の16盗塁を記録し、矢野燿大(あきひろ)監督も「新人に見えなくなってきている」と舌を巻く。開幕はベンチだったが正遊撃手の座を実力でつかんだ。

 先発陣でも貴重な左腕、伊藤将司(JR東日本)が、制球力を武器に5勝をあげている。

 16年間在籍した鳥谷敬が昨季ロッテに移籍し、日米通算245セーブの藤川球児さんが引退するなど大きく若返ったチーム。優勝争いの経験がないのは不安材料だが、リーグ3連覇を狙う巨人と首位を激しく争っている。

両チームのOBが語る

前半戦を首位で折り返しそうなオリックスと阪神。記事後半では、両チームでエース格として活躍した野田浩司さんに、かつてバッテリーを組んだ中嶋聡監督のことや、両チームの今後のキーマンについて聞いています。

■「キーマンは」虎、オリのO…

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