「酒提供を一律停止」東京に4度目の緊急事態宣言を決定

永田大
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 菅義偉首相は8日、新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」を適用している東京都に、4度目の緊急事態宣言を出すことを正式決定した。期間は12日から8月22日までで、酒類を提供する飲食店には再び休業要請する。

 7月11日が期限の沖縄県の緊急事態宣言と、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県への重点措置も8月22日まで延長する。北海道、愛知、京都、兵庫、福岡の5道府県は今月11日の期限で重点措置を解除する。

 8日夜の記者会見で首相は「再度東京を起点とする感染拡大を起こすことは絶対に避けなければならない。先手先手で予防的措置を講ずることとし、東京都に緊急事態宣言を発出する判断をした」と述べた。感染状況が改善すれば、前倒しの宣言解除もあるとの認識を示した。

 さらに首相は、海外では全人口の約4割がワクチンを1回接種すると感染者が減る傾向にあると指摘し、「日常を取り戻すには一日も早く、この4割に到達することが大事だ。7月中にそこを目指したい」と語った。

 会見に同席した政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は、インドで見つかった変異株(デルタ株)の広がりについて、「40代、50代の重症者数が増えている。このまま放っておくと医療逼迫(ひっぱく)の蓋然(がいぜん)性がかなり高い」と述べた。

 緊急事態宣言の対象地域では、酒類やカラオケを提供する飲食店に休業を要請。重点措置の4府県も、飲食店に酒類の提供を行わないよう要請するが、感染状況に応じて知事の判断で、対策をとっている飲食店は午後7時まで酒類を提供できるようにした。

 新たな対策として、休業や時短の要請に応じた飲食店への協力金について、手元に早く届くよう先渡しできる仕組みを設ける。措置が長引くなか、飲食店への協力金の支給が遅れていることに不満が広がっていることへの対応という。

 一方で、特別措置法に基づく都道府県の命令に従わない飲食店には「何度でも過料することを含めて、厳しく対応する」(西村康稔経済再生相)との姿勢を示した。酒類販売事業者には、休業要請などに応じない飲食店との取引はしないよう求める。「国からの一般的なお願い」(加藤勝信官房長官)だという。さらに、金融機関へは融資先の飲食店に対して、都道府県からの要請や命令は守るよう働きかけることを国が依頼する。

  また、デルタ株への置き換わりが進んでいることから、宣言地域では不要不急の帰省や旅行など、都道府県間の移動は極力控えるように促す。イベント制限については、緊急事態宣言の期間中は「収容人数の50%を上限に最大5千人まで」とし、午後9時までの時短開催を維持した。(永田大)

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    江渕崇
    (朝日新聞経済部次長=日米欧の経済全般)
    2021年7月9日0時56分 投稿
    【視点】

     酒類販売事業者へのこの根拠不明の要請についてツイッターなどで異論が噴出しているようですが、同じぐらい見逃せない、かつ法的根拠不明なのが金融機関への「依頼」です。  資金繰りに苦しむ中小飲食店に対し、金融機関が持つ「優越的地位」を使って圧

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