米高官「台湾独立を支持しない」 平和と安定重視の姿勢

ワシントン=園田耕司
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 カート・キャンベル米国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官は6日、米シンクタンクのイベントで講演し、中国から軍事・外交両面で圧力を受け続ける台湾をめぐり、「我々は台湾海峡における抑止力について明確なメッセージを送ろうとしている」と語った。日米首脳会談を皮切りに、一連の国際会議での「台湾海峡の平和と安定の重要性」の明記を念頭に置いた発言とみられる。

 キャンベル氏は、米国と台湾との実質的な外交関係を定めた台湾関係法に基づき、「我々は台湾との力強い非公式関係を支持している」と指摘。ただし、「台湾の独立を支持しない」とも述べ、中国を正当な国家として認める「一つの中国」政策の枠内で台湾支援を行う考えを示した。

 キャンベル氏は、香港における中国当局の人権弾圧にも言及。「中国が国際秩序に完全に反する行動を取れば、国際社会はその行動に伴い、シグナルを示す必要がある」と牽制(けんせい)した。

 一方、キャンベル氏は現在の米中関係を「冷戦の枠組みを当てはめてみようとは思わない」と述べ、あくまでも競争関係にあるという認識を示した。そのうえで、「我々の希望は、ある程度の(中国との)共存を見つけること」と指摘。10月にイタリアで予定されている主要20カ国・地域(G20)首脳会議を念頭に、「そう遠くない将来、両首脳間では何らかの関与があるだろう」と語り、米中首脳会談の開催を示唆した。(ワシントン=園田耕司

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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所准教授)
    2021年7月7日12時33分 投稿
    【視点】

    近年米台関係がことさらに強化されていますが、アメリカの台湾政策の目標の一つが台湾海峡の安定にあることは、過去から変わっていません。アメリカは台湾民主化後も、とくに陳水扁政権に中台の対話を進めるように圧力をかけ続け、海峡の安定を崩しかねない政

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