感染より効率よく抗体 見えてきたコロナワクチン効果

有料記事

瀬川茂子
[PR]

 新型コロナウイルスに感染すると、ワクチンを打ったのと同じ免疫がつくのだろうか。最近の研究によれば、国内で接種が進むmRNAワクチンを打つと、実際にウイルスに感染するより、感染を抑える「抗体」を効率よく作れることがわかってきた。

 感染すると、体内でウイルスが分解される。分解されたウイルスは「樹状細胞」に取り込まれ、様々な免疫細胞にウイルスの情報が伝えられる。この情報をもとに免疫細胞の一種「B細胞」が、ウイルスを認識してくっつく多様な抗体を作り出す。

 ただ、樹状細胞が免疫細胞に伝えるウイルスの情報には様々な種類があり、中には、感染防御に役立たない情報もある。こうした情報をもとに作られた抗体は、たとえウイルスにくっついても感染を防げない。

 米ニューヨーク大のチームが新型コロナ感染から回復した101人の血液を調べたところ、感染を抑える効果が高い抗体を十分持つ人は6%、中程度持つ人は20%にすぎず、大部分の人は少なかった。(https://www.nature.com/articles/s41598-021-84913-3)

 感染を抑える効果が高い抗体は「中和抗体」と呼ばれる。ウイルスが細胞に侵入する時に使う「スパイクたんぱく質」を認識してくっつき、侵入をじゃまする抗体だ。

 mRNAワクチンは、効率よく中和抗体を作るために開発された。ウイルスに感染するときとは違って、スパイクたんぱく質の情報だけを免疫細胞に伝える仕組みだ。

 国内で接種が進むファイザーやモデルナ製のワクチンの臨床試験では、実際に感染した人と同等か、上回る中和抗体ができたと報告された。

 また、長崎大などのチームが、新型コロナの感染者と、感染せずにファイザーのワクチンを2回接種した人の血液の抗体を比べたところ、ワクチン接種者のほうが中和抗体が多くできたと推定された。

 チームの柳原克紀教授は「感染しても感染予防に十分な抗体を獲得できていないことがあり、油断しないほうがいい」と話す。ただ感染者は1回の接種で、感染せずに2回接種した人と同等の抗体の量になったという。

まれに接種後感染は起きる

ここから続き

 米フレッドハッチンソンがん…

この記事は有料記事です。残り976文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません