クーデターを起こした男 取材で見せた穏やかな笑み

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貝瀬秋彦

 ミンアウンフライン――。2月1日のクーデターによって、世界にその名が知られるようになったミャンマー国軍の最高司令官に会ったのは、2019年2月14日のことだ。当時のヤンゴン支局長が申し込んだインタビューを受けるとの連絡が入り、私も同席するべく、前日にバンコクからミャンマーの首都ネピドーに飛んだ。

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 翌朝、指定された国軍の施設に出向くと、講堂のように天井が高く、だだっ広い部屋に通された。正面には仏教寺院とみられる巨大な絵が掲げられ、その前に木彫が施されたテーブルと椅子が置かれている。テーブルには色鮮やかな花が飾ってあった。

 しばらくして、濃い緑色の軍服に身を包んだミンアウンフライン氏が、腹心と思われる数人の部下を引き連れて入ってきた。部屋で待機していた部下や国軍側の撮影クルーを合わせると、総勢は10人を超える。

 ミンアウンフライン氏が腰を下ろすと、通訳が斜め後ろに座り、ほかの軍人たちは数メートル離れた所で立ったまま控えた。国軍側の数台のテレビカメラがミンアウンフライン氏の表情を追い始めると、場に緊張感が漂った。

 インタビュアーは1人にしてほしいと要請があり、ヤンゴン支局長が質問し、私はその様子を撮影しながら発言に耳を傾けた。

「私がキーパーソン」

 「インタビューに応じるのは…

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この記事を書いた人
貝瀬秋彦
ソウル支局長
専門・関心分野
朝鮮半島、東南アジア、核問題、人権問題