職員募集の際に「心身共に健康であること」を条件に掲げていた日本スポーツ協会は、理事や監事など役員の候補者に同様の条件を求めていた。障害者差別解消法は障害者への差別的取り扱いを禁じる。同法を所管する内閣府は「適切とは言えない」としている。
日本スポーツ協会のほかに、日本水泳連盟も役員の条件に「心身ともに健康であること」と求めていた。
日水連がこの条件を設けたのは、日本スポーツ協会と同じ2013年だった。
今年3月に開かれた臨時評議員会では「障がいがある者を対象としないような表現にも受け止められるため、検討が必要だ」という声が上がっていた。
事務局は「23年までに様々な規定を変える予定で、その中で検討していきたい」と取材に答えた。
スポーツ団体で職員や役員にこうした条件が掲げ続けられていたことについて、障害者団体「DPI日本会議」事務局長の佐藤聡さん(54)は、「障害があれば一律に資格が認められなかった『欠格条項』と同じだ。公的なものはどんどん改善されてきたのに、旧態依然と感じる。パラスポーツが普及し、障害者がスポーツすることが当たり前になったのに残念だ」と話す。(杉浦幹治)
「誰もが一生、心身ともに健康でいられぬ」
一連の問題について、全身の筋肉が衰える難病「筋萎縮性側索硬化症」(ALS)を患う、舩後靖彦参院議員にも話を聞いた。
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国会の中に入って、議員というのはなんとエネルギッシュにハードな活動をこなしているのか、驚きをもってみています。しかし、全身まひで全てのことに人の手を借りる必要があり、医療ニーズも高い私には、他の健康な方々のような同じようなペースで動き回ったり、話したりすることはできません。
そんな私が議員になった当初のことです。ある国会議員から、私の姿を見て「聞こえているの?」と言われたことがあります。名刺交換をするとき、私の方を見ずに、介助者や秘書の方だけ見て渡される、ということもありました。
リアルの場だけではありません。インターネット上で「重度障害者に議員がつとまるわけがない」と中傷されたことがあります。
国内での新型コロナ感染が広がり始めた昨年、オンラインでの会議の参加、在宅勤務時でも重度訪問介護が使用できる介助制度の改革などを提案したうえで、数日間国会日程を欠席したことについて、「コロナが怖くて国会をずっとさぼっている」と事実と異なる表現をされたこともあります。
こうした個人的な体験を踏まえても、「健康であるべきだ」という価値観は根強いものであると感じております。
それでも、変化の兆しも
誰もが一生、心身ともに「健…