ニューヨーク市長選の予備選では、新しい投票方法が導入され、1人の有権者が最大で5人まで候補を選ぶことができる。「死票」を減らすことで、幅広く民意を反映させることなどが目的だが、集計に時間がかかるなど、混乱も懸念される。
新たな投票方法は「優先順位付き投票」(Ranked Choice Voting=RCV)と呼ばれるものだ。有権者は1人の候補者を選ぶのではなく、最大で5人までの候補者を、順位をつけて選択することができる。
開票ではまず、「第1選択」の票を集計する。この段階で1人の候補が過半数の得票を得られれば、その候補が勝者となる。しかし、どの候補も過半数を得られなかった場合は、「第2選択」以下の票を集計する作業に入る。
2回目の集計作業では、「第1選択」の票が最も少なかった候補が集計対象から除外される。除外された候補の得票は、有権者が「第2選択」としていた候補にそれぞれ割り振られる。候補者が2人だけになるまで、何度も同じ作業を繰り返し、残った2人のうち、得票が多い候補が勝者となる。
投票制度に詳しい、ミズーリ大セントルイス校のデービッド・キンバル教授によると、RCVは「死票」が少ないほか、最終的な当選者は過半数の支持を得ているという仕組みになっているため、1人の候補だけに投票する仕組みよりも、民意を反映しやすいとされている。また、候補者も幅広い有権者にアピールをしようとするため、選挙戦でもお互いへの攻撃が少なくなると考えられている。同じような投票制度はオーストラリアやアイルランドで用いられ、米国の他の自治体でも導入されている。
記事後半ではNY市長選選の有力5候補のプロフィールを紹介します。
キンバル教授はメリットも挙…
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- 【視点】
米国で分断が深刻になった理由として、各党が本選挙の候補者を選ぶ「予備選」を挙げる声が少なからずあった。同じ党派内では穏健な主張をする候補は「弱腰」とみなされ支持を集めにくい。言い換えれば極端な主張をする方が支持を集めやすいという構図がある。
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