「忖度せず厳しい姿勢でのぞむ」 個人情報保護委員長

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聞き手・平井恵美 中島嘉克
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 デジタル改革関連法が5月に成立し、国や自治体で個人情報の活用が進もうとしている。情報はきちんと保護されるのか、政府の個人情報保護委員会は機能するのかといった懸念も強まっている。同委員会の丹野美絵子委員長は取材に「個人の権利利益を侵害しないことが一番大事。そこを離れて利活用がどんどん進むことはあり得ない」と述べた。

 個人情報の流出が疑われる事例は、いまも相次ぐ。対話アプリ「LINE」をめぐっては、利用者の個人情報が業務委託先の中国企業からアクセスできるようになっていた。こうした問題について丹野氏は、利用者側も意識を高めていく必要があると語った。主なやりとりは以下の通り。

 ――プライバシー侵害の懸念もあるなか、データの利用はどう進めるべきですか。

 「まず個人情報保護法の趣旨は、情報の利活用の促進と個人の権利利益の保護の両方のバランスをとることです。それが適切に行われているかどうか監視監督をしていくのが、我々の任務、役割、使命だと認識しています」

 「事業や経済、社会がグローバルにつながっていくなかで、利活用はある意味どんどん進んでいきます。一番大事なことは個人の権利利益を侵害しないことです。その基本を離れてデジタル化の方へ行くとか、利活用がどんどん進むというのはあり得ません」

 ――デジタル改革関連法が成立し、これまで行政機関、独立行政法人、民間でバラバラだった個人情報保護に関する法律が一本化されます。委員会の監督対象が行政機関にも広がります。

 「2015年の法改正で委員会は民間事業者の個人情報の取り扱いについて、一元的に担うようになりました。当時も『監督できるのか』という指摘はありました。改正法の施行から4年間で着実に役割を果たしてきたと自負しています」

 「委員会はマイナンバー制度

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この記事を書いた人
中島嘉克
経済部|経済産業省担当
専門・関心分野
デジタル、産業政策