NTT接待29回 「違反を誘発」 社長ら16人処分
総務省幹部らへの接待問題で、NTTは7日、自社の特別調査委員会(榊原定征委員長)の調査報告書を公表した。同省の幹部や政務三役らに対してグループ各社で29回の接待を認定し、「法令違反を誘発・助長した」「国民の疑惑を招きかねない」と批判。ただ、便宜供与の依頼などは「認められなかった」とし、「行政の判断がゆがめられた事実は確認されなかった」と結論づけた。
調査委は、同社の社外取締役の榊原氏(元東レ社長)と3人の弁護士で構成。2016年4月~21年3月を対象に、社内の決裁資料の収集やNTT側の出席者への聞き取りを進めた。その結果、NTT側が代金を多く負担した会食は29回確認された。総務省が4日に公表した調査結果とも一致しているという。
29回の会食のうち、5回は当時の大臣を含む政務三役との会食だった。NTT側は澤田純社長が6回、島田明副社長が4回参加していた。総務省幹部が5千~1万円を払ったケースもあったが、いずれも実際の飲食代より少なかった。1人1回あたりでは、一連の問題で辞職した谷脇康彦・前総務審議官に対する6万480円(自己負担ゼロ円)が最大だった。
調査委は、経営陣の対応が国家公務員倫理規程に違反する結果を招いたとし、「法令違反を誘発・助長した点で、非難を免れることはできない」と指摘。倫理法令に対する「経営陣の知識・感度が不足していた」と原因を挙げた。
また、一連の会食は菅義偉首相が力を注ぐ携帯料金の値下げや、NTTによるNTTドコモの完全子会社化が進んだ時期と重なる。このため、調査委は「何らかの便宜供与があったのではないかなどの疑いを招きかねない外形的な状況にあったことは否定できない」とした。しかし、当時の政策決定の状況などから働きかけを通じて個別に便宜を得ることは「容易ではなかった」などと判断。「不正があったとは認められず、行政判断がゆがめられたことを示す事情もなかった」とした。
こうした調査委の指摘を受け、NTTは7日、澤田社長の月額報酬を7月から3カ月間4割カットするなど経営陣4人の報酬減額処分を発表した。接待に参加した篠原弘道会長ら12人も厳重注意した。再発防止に向け、利害関係のある大臣や公務員との個別会食を原則実施しないことなどのルール化を図るという。
■背景に「身内意識」も…