太陽光発電所と住民のトラブル 専門家の見方は

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加茂謙吾
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 脱炭素社会づくりのかぎとなる太陽光発電所は東日本大震災後に始まった電力の固定価格買い取り制度(FIT)のもとで急拡大し、立地地域の住民とのトラブルは絶えない。国も解決にむけた対策を重ねているが、自治体任せの状況も残る。

 政府が2050年の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す中、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの拡大は欠かせない。その一方で景観や災害などをめぐるトラブルもあり、地方自治研究機構によると、太陽光発電所の建設を規制する条例(立地の促進のみを規定する条例などは除く)の導入は4月1日時点で146市町村に広がり、都道府県でも兵庫、和歌山、岡山の3県がもうけている。

 資源エネルギー庁によると、電力の固定価格買い取り制度(FIT)で導入された再エネのうち、太陽光発電が占める容量は86%にのぼる。そのうちの8割近くが出力10キロワット以上の事業用で、1メガワット以上のメガソーラーに限っても4割を占める。各地で起きるトラブルは急速に拡大してきた「ひずみ」ともいえる。

 背景には制度の問題もありそうだ。再生可能エネルギー特別措置法(FIT法)では、事業の計画段階で事業者が地元の理解を確実に確保する仕組みは整っていない。政府はトラブルを避けようと、17年にFIT法を改正し、自治体の条例を守ることを事業者に義務づけた。違反した場合は認定取り消しになる可能性もあるが、条例を設けるかどうかは自治体任せだ。

記事の後半では、制度上の課題などについて専門家に聞いています。

 ある市の担当者は「FITの認定制度はザル。条例がなければ、地域事情を無視した事業を防げない」と不満を漏らす。NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)の山下紀明理事は「トラブルが起きる前に、自治体は(景観など)守りたいものを守れるよう条例を作っておくべきだ」と話す。

 太陽光発電などをめぐるトラ…

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