震災10年目でリニューアルオープン 福島市写真美術館

荒海謙一
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 東日本大震災で被災し、休館を余儀なくされた福島市写真美術館(同市森合町)が29日、リニューアルオープンする。「花見山」を全国に紹介した写真家秋山庄太郎氏(1920~2003)の作品も10年ぶりに展示される。

 同館の建物は1922(大正11)年に、当時の逓信省が建設した。石造りの2階建てで白壁や赤い瓦が大正時代の面影を伝え、市は2002年に有形文化財に指定。03年に秋山氏の作品を展示し、写真美術館としてオープンさせた。

 しかし、10年前の震災で外壁に亀裂が入り、内壁が崩れるなどして使用できなくなり、一時は解体も検討された。復旧工事は、文化的価値を保つための調査を経て19年から始まり、耐震補強も施されて今年3月に完了。震災前は非公開だった2階には企画展示室のほか、絵画教室などに使える多目的室も設けられた。

 同館の顔ともいえる秋山氏は日本を代表する写真家。俳優らの撮影から始まり、やがて「花」をライフワークにした。「福島には桃源郷がある」と絶賛し、作品などで花見山を全国に発信。市は秋山氏に「ふるさと栄誉賞」を贈り、その際に作品を寄贈された縁があり、同館には「花の写真館」の愛称もある。

 秋山氏の生誕100年を記念し、最初の作品から晩年までの113点を展示する写真展「花信(はなだより)」を6月30日まで開催。6月6日には、秋山氏の映像作品に楽曲を提供したピアニストの中村由利子さんのコンサート、13日には写真芸術ビギナー講座が予定されている。問い合わせは市文化振興課文化財係(024・525・3785)へ。(荒海謙一)

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