「世界標準に合った議論を」 緊急避妊薬で団体が要望書

神宮司実玲
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 望まない妊娠を防ぐ緊急避妊薬を薬局で購入できることをめざし、「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」が28日、厚生労働省に要望書を提出した。厚労省は来月7日に開かれる検討会で、検討の進め方を議論する予定。

 緊急避妊薬は、性交から72時間以内に服用することで排卵を遅らせ、高い確率で望まない妊娠を防ぐことができる。現在日本では、対面かオンラインによる医師の診察と処方箋(せん)が必要だ。

 会見で、染矢明日香・共同代表は、世界の約90カ国で、薬局で入手可能になっていることに触れ、「世界標準に沿った議論が進んでほしい」と話した。

 厚労省の検討会が2017年に議論した際は、乱用や悪用のおそれなどが指摘され、「時期尚早」として認められなかった。

 要望書では、悪用の背景には、安全性が担保されていない未承認の緊急避妊薬がSNSで出回っていることもあると指摘。薬局で購入できるようになれば、不適切な転売は減ると考えられる、としている。さらに、WHO(世界保健機関)も安全性を保証し、国内では薬剤師を対象とする緊急避妊薬の調剤の研修も進んでいるなどと説明。医師の処方箋がなくても緊急避妊薬を薬局で購入できるようにしたり、対面・オンラインにかかわらず受診しやすい体制を整備したりするよう求めた。

 共同代表で産婦人科医の遠見才希子医師は、厚労省で始まる検討会について、「(生殖にかかわることを自分で決められるとする考え方である)性と生殖に関する健康と権利(リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)が尊重された議論が進むように、声をあげていきたい」と話した。

 緊急避妊薬は昨年12月に閣議決定された21~25年度の第5次男女共同参画基本計画で、医師の処方箋がなくても薬局で購入できるよう検討することが、初めて盛り込まれた。(神宮司実玲)

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