奥出雲おろち号、運行終了へ 知事ら「継続要望したい」

杉山匡史 清水優志
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 JR西日本は、島根、広島両県の木次(きすき)線を走る観光列車「奥出雲おろち号」(3両編成、定員64人)を2023年の運行で終わらせる。製造から40年以上経つ車両の老朽化と、部品の調達などに苦慮していた。車検が切れるのを機に更新しないことを決めたという。

 「おろち号」はディーゼル機関車と、窓を取り払った開放的なトロッコ車、雨天時などに客が乗る控車(ひかえしゃ)による3両編成。毎年4~11月の間、木次(島根県雲南市)―備後落合(広島県庄原市)の60・8キロを走る。日曜日を中心に一部は出雲市駅まで運行している。

 急勾配の山を車両が繰り返し、向きを変えながら登る「3段スイッチバック」は鉄道愛好家はもちろん、家族連れらにも人気で、2020年はコロナ禍で約6千人に落ち込んだが、前年には約1万3千人の利用があった。

 米子支社によると、現在の車両は1998年4月の運行開始時から使っている。70~78年の製造で老朽化が進み、部品の調達も難しかった。3両編成のうち、1両が23年で車検が切れるため、11月まで運行後、更新せずに終了することにしたという。

 方針は米子支社が26日、島根県に伝えた。おろち号の事業費の一部を負担している「出雲の国・斐伊川サミット」(沿線自治体の出雲、雲南市、奥出雲町と飯南町で構成)の自治体を中心に事情を説明して理解を求めるとしている。

 一方で利用者が低迷する木次線の存続にも影響を及ぼすことが想定される。一部自治体は、これまでに老朽化で車検が通らない可能性があることなども聞いていたというが、沿線自治体は突然の方針に驚きを隠せない。引き続き運行を求める方針だ。

 丸山達也・島根県知事も27日、報道陣に「トロッコ列車は観光振興の重要な柱。地元の市町と連携して運行の継続を要望したい」と述べた。(杉山匡史、清水優志)

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