確かな腕のある、そして上方らしい深い情感をたたえた女形だった。23日に79歳で亡くなった歌舞伎俳優の片岡秀太郎さんは終生関西に居を構え、上方歌舞伎の復興に力を尽くした。芸には厳しかったが、養子に迎えた片岡愛之助さんや門閥外の弟子たちの挑戦を温かい目で見守り、その成長を支えた名指導者でもあった。
十三代目片岡仁左衛門の次男として大阪で生まれ、幼いころから義太夫や舞踊、鳴り物の稽古を重ね、京都の花街の空気にもごく自然に触れる環境のなかで、柔らかい色気を身にまとった。
父の姿見て、関西に根
「昔は本当に舞台の仕事がなかった。父がいったいどうやって暮らしているのか、わからない時期もありました」。上方歌舞伎が低迷していた若き日を、こう振り返ったことがある。
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関西での歌舞伎公演が激減す…
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