コロナ感染から復帰の公明・伊佐氏「後遺症に対策を」 

公明

太田成美
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 当事者だから気付いたことを政府にぶつけたい――。先月、新型コロナウイルスに感染し、前日から国会に復帰した公明党の伊佐進一氏が19日、衆院厚生労働委員会で質問した。

 「まだ100%じゃありません。疲れやすさはましになってきましたが、せきはまだ出ます」

 伊佐氏は4月24日に大阪府守口市の自宅で発熱し、26日に陽性と判明。軽症のため、ホテル療養を経て、今月5日に保健所から職場復帰の許可を得た。倦怠(けんたい)感が残り、1週間あまりはテレワークをしながら自宅で療養した。委員会で切り込んだのは、厚労省が「いわゆる後遺症」と表現し、正式には存在を認めていない後遺症への対応だ。

 伊佐氏は、ホテル療養中にオンラインで対話した後遺症外来の医師によると、労働者の患者の65・8%が働き方に影響が出ていて、中には休職や解雇された人もいたという状況を紹介。海外で研究が進んでいることにも触れながら、「後遺症について理解されず、相談するところもなく、不安も増している」と指摘し、後遺症の周知や相談体制の整備を求めた。

 田村憲久厚労相は「海外のデータが本当に正しいかわからないが、かなりの確率で後遺症が残るみたいな話も聞く」と応じ、厚労省の研究班が6月にもまとめる中間報告を待って、周知する考えを示した。伊佐氏は「後遺症で苦しむ方々は増えてくる。手を打ってほしい」と訴えた。

 伊佐氏は、薬も処方されなかったホテル療養中の医療の在り方にも疑問をぶつけた。「国はオンライン診療ができる体制になっていると言うが、どれぐらいなされているか」と問いただした。

 厚労省の正林督章健康局長が「実際にどこまでやられているかは把握していない」と述べるにとどまったため、伊佐氏は「療養中に亡くなるケースが非常に多い。しっかり把握していただきたい」と語った。

 また、伊佐氏は発症から7日目に自宅からホテル療養に移った。妻と小学生の娘2人は陰性だったが、妻も感染した場合、「子どもの世話は誰がみるのか」と不安にかられた。「実家は近いが、濃厚接触者を高齢者に預けるわけにはいかない」と葛藤したという。

 厚労省は医療機関や児童相談所などでの一時保護を想定していると答えたが、伊佐氏は「医療機関が本当に今できるのか。一つの課題としてぜひ意識していただきたい」と訴えた。

 質問を終えた伊佐氏は取材に、重症者の病床不足が注目されているが、「その前の療養施設でしっかりと重症化を予防するのと、(その後の)後遺症は重要なテーマだ」と語った。(太田成美)

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