第4回慰安婦合意、警戒した安倍氏 前夜も念押し「大丈夫か」

【動画】「最終的かつ不可逆的」に慰安婦問題が解決されるとされた日韓合意。しかし、その後の韓国の政権交代で日本は…。

 2015年末、日韓両政府は歴史的な慰安婦合意にこぎつける。水面下では、政権幹部たちの思惑が交錯していた。ある官邸幹部は、合意当日の安倍首相は不満げな様子だったと証言する。

「未完の最長政権」第3部第4回

 慰安婦問題で日韓両政府が合意に達した2015年12月28日、首相の安倍晋三は腑(ふ)に落ちない表情だった。官邸幹部は当時の様子をそう証言する。安倍は周囲にこうこぼしたという。

 「官邸に抗議のメールが大量に届いているんだ。こんなことは、官邸始まって以来だよ」

 慰安婦合意は、ソウルを訪問した外相の岸田文雄と、韓国外相の尹炳世(ユンビョンセ)の間で交わされ、安倍首相による「おわびと反省」の表明や、日本政府による韓国の財団への資金拠出を約束し、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」した。安倍は東京でその様子を見守っていた。

 合意当日、米国大統領補佐官のスーザン・ライスは「困難な問題で恒久的な解決に至った、日韓の指導者の勇気とビジョンを称賛する」との声明を発表し、国連なども歓迎した。だが、自らの支持基盤である保守層からの抗議が官邸に次々と寄せられた。

 日韓合意4日前の24日の首相執務室。外相の岸田文雄や国家安全保障局長の谷内正太郎、外務事務次官の斎木昭隆、首相秘書官の今井尚哉らが安倍を囲み、向き合っていた。

 関係者によれば、安倍は慰安…

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