「米軍より過酷」なアマゾンの現場 ベゾス氏の本心は?

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江渕崇

経世彩民 江渕崇の目

 パンデミック激震地となったニューヨークで「我慢の1年」を過ごしたところで帰国を命じられた。ワクチン接種が進み、あと1、2週間待てば自分に順番が回ってきそうだった。一時は人影が消えた街も、にぎわいを取り戻そうとしていた。後ろ髪引かれる思いで帰ってきた日本は、緊急事態宣言の繰り返し。帰国のタイミングとしては最悪である。

 それでも、一消費者として4年ぶりに暮らす日本は相変わらず快適だった。安くておいしい食事、チップなしでも接客は丁寧で、何かあっても顧客窓口に電話がつながる。アメリカの消費者に降りかかる大小のトラブルをめぐる、あの心労にはオサラバだ。

 例えば、飲食店でクレジットカードに二重課金されたことが何度かある。店に指摘すると「マネジャーに連絡させます」というのだが、連絡をくれる確率は低い。やりとりを重ねるうちにこちらが面倒になり、「大した額でもないし」と諦めることになる。

 電気料金や宿泊料を過大に請求されたり、壊れた商品が箱に入っていたり。単純なトラブルでも損失回収にいちいち骨が折れる。

 そんな「消費者受難の国」にも、大きな例外がある。アマゾン・ドット・コムだ。商品に問題があればすぐ取り換えてくれるのは当たり前。傘下スーパーの生鮮食料品を配達してくれるサービスは、手作業で商品をピックアップしているせいか、種類や量をよく間違える。そんな場合でも、チャットで一言申し出れば、すぐに返金される。間違えて届いた品は結果的にタダということになる。当方が恐縮するほどのストレスフリーぶりである。

 「地球上で最も顧客中心の会…

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この記事を書いた人
江渕崇
経済部次長|国際経済担当
専門・関心分野
資本主義と民主主義、グローバル経済、テクノロジーと社会