スポーツの盗撮どう防ぐ 「新レオタード」が世界で称賛

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金島淑華 遠田寛生
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 写真や動画がネット上に拡散して起きる性的被害を防ぐことができる――。

 4月、体操の欧州選手権で、ドイツの女子3選手が従来のレオタードではなく、ほぼ全身を覆う「ユニタード」を着て演技を披露し、世界中から称賛された。

 日本では、テレビで放映された女性競技者の映像を画像として切り取ってアダルトサイトに投稿したとして、容疑者が逮捕されたばかり。被害は収まっておらず、スポーツ団体は対策を急いでいる。

 ドイツ体操連盟は、選手を守ると同時に、性的被害撲滅を訴える意味も込めたという。ユニタードを身につけた1人で、ドイツの東京オリンピック代表候補のザラ・フォス(21)は「全員が着る必要はないし、私もこれからずっと着るかは分からない。でも選択肢を増やすことはできた」と話す。

 注目を集めたユニタード。体操日本代表のレオタードを作るミズノによると、日本協会や選手から問い合わせは今のところ来ていないという。

 通常のレオタードでも特注の場合、採寸やシルエットの選定など完成までに半年以上を要する。担当者は「(ユニタードは)日本市場に出回っていないため、一から作ることになる。半年以上はかかるのではないか」と話す。

 ただ、20年前から盗撮対策に取り組む日本体操協会の遠藤幸一常務理事は「レオタードでやることに不安や抵抗のある選手にとって、選択肢があるのはいいこと。日本でも、口火を切る選手が現れれば、広まっていくかもしれない」と話す。

 アスリートの盗撮を巡っては昨夏、陸上の女子選手が、競技中に性的な意図で撮影され、写真がひわいな言葉とともにSNSに投稿された、などと日本陸上競技連盟に訴えた。

 これを機に、日本オリンピック委員会(JOC)などスポーツ界の7団体が昨年11月、「アスリートの盗撮、写真・動画の悪用、悪質なSNS投稿は卑劣な行為」との抗議声明を発表。JOCの公式サイトに通報窓口も設けた。

 被害に遭いやすいとされる競技団体はどのように対策を立てているのだろうか。

 日本体操協会によると、2000年ごろは赤外線カメラによる撮影で、レオタードが透けて裸が映し出された女子選手の写真などがネットに出回っていた。「レオタード」と検索すると数え切れないほどの盗撮とみられる画像が出てくる状態だったという。見つけるたびに通報や削除依頼をしていたが、いたちごっこだった。

 日本協会は04年、ファンの反対を押し切って、主催大会で一般撮影を禁止にした。年々、被害は減少。ここ1~2年は「ネットに画像があがっている」といった協会への通報もないという。

 ただ、地方で開かれる小規模の大会は入場無料で出入りが自由な場合も多く、知らずにスマートフォンで撮影する観客もいるという。見回りはしていても、盗撮者を完全に取り締まるのは難しい。

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