第2回安倍外交「センスある」と評価 だが戦略には米も苦言

【動画】中国との関係は、「牽制」から「競争」、そして「協力」へ。安倍外交の変化の背景にあったものは。

中国首脳とひざ詰めの会談、トランプ米大統領との関係――。安倍首相が外交舞台で見せた振る舞いは、外交官たちをも感心させた。しかし、欠けているものがあるという。

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「未完の最長政権」第3部第2回

 安倍晋三の外交舞台を間近で見てきた首相官邸幹部や外交官は、安倍外交をこう評価する。

 「安倍さんには『外交センス』がある」

 例えば、中国首脳とひざ詰めの会談で、当時記者団には明らかにされていない、安倍の立ち回りの様子を、政府関係者は明かす。

 「尖閣諸島ですが、私の島に手を出してもらっては困る。私の考え、日本の出方を読み違えないように」

 安倍が中国首相の李克強(リーコーチアン)との会談で、中国側が尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返していることに、こうクギを刺すと、会場の空気が張り詰めたという。

 中国国家主席習近平(シーチンピン)との会談では、安倍は中国がサイバー攻撃を通じて日本や他国の技術情報を不正に入手していることに懸念を表明。習が「中国に悪いところがあれば、こちらも善処する。だが、中国を『盗人』扱いする発言は許せない」と強く反発すると、安倍は「次の議題ですが……」と受け流したという。

【プレミアムA】 未完の最長政権 第3部

 「外交の安倍」。2012年に首相の座に返り咲いた安倍晋三前首相はそう呼ばれた。「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げ、訪問国は80カ国を数える。「未完の最長政権」第3部では、安倍外交の内実を検証する。

 2016年の米大統領選で型…

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