能登・小木の漁船がアカイカ漁へ「大漁目指す」
小島弘之
石川県能登町にある小木港所属の中型イカ釣り漁船3隻が13日朝、北太平洋でのアカイカ漁に出港した。小木港は全国有数のスルメイカの水揚げ量を誇ってきたが、能登半島沖の「大和堆(たい)」などでの不漁が響き、2年連続でアカイカに活路を求めることにした。
出港したのは、第58金剛丸、第31永宝丸、第18旺貴(おうき)丸の3隻。青森県・八戸の船団と合流し、長ければ9月下旬まで北太平洋でアカイカ漁を続け、その後は日本海に移動して、1月ごろまでスルメイカ漁をするという。コロナ禍の影響で乗組員となるインドネシア人の実習生が4月に来日できず、どの船も乗組員は不足しているという。
小木船団の山下浩弥船団長(61)は「日本海は近年、中国船の違法操業などで不漁続き。新たな開拓地を探すためアカイカ漁に出る。大漁を目指す」と語った。3隻は、乗組員の家族や近隣住民が見守る中、カラーテープをなびかせ、汽笛を鳴らして港を離れた。
小木港のスルメイカ漁は2002年度には約2万トンの水揚げがあったが、漁船の減少や外国船の違法操業の影響を受け、19年度には過去最低の1568トン、20年度も2232トンと低迷している。所属の漁船も1978年ごろは80隻以上あったが、今は10隻になった。
スルメイカの方がより高値で売れるといい、県漁協小木支所の担当者は「スルメイカだけで経営できるのが理想だが、これ以上隻数が減らないよう、アカイカ漁などで経営を維持してほしい」と話す。
小木港を拠点とする残り7隻を含む県内のイカ釣り漁船8隻は、6月上旬に日本海に向けてスルメイカ漁に出るという。