人の心に「残像」を 田中佑典が極めようとする体操とは

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山口史朗
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 「代表に入りたい」「日本のエースとして、五輪で金メダルを取りたい」

 4月の全日本選手権から始まった体操の東京五輪代表選考で、選手たちはそれぞれに五輪への熱い思いを語った。その中で、こんな目標を口にする選手がいた。

 「自分のやりたい体操、目指している体操を見せたい」

 田中佑典(コナミスポーツ)。2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ五輪の代表で、リオでは内村航平(ジョイカル)らとともに団体総合で金メダルを獲得した。

 31歳。リオ後は肩などのケガに苦しんだ。世界のライバルたち、日本の若手が演技の難度をどんどん上げる一方、自らは思うように体を動かせない日々を送った。

 納得のいく倒立もできなくなり、「これでオリンピックを目指すと言っていいのかと、自分を許せないと感じることもあった」。

 昨年から少しずつ状態は上向いてきた。一つひとつ、技を取り戻していくたび、喜びを感じた。演技構成の難度は低く、代表争いに絡めないことも覚悟しつつ、「今あるものを生かして、自分の体操の魅力をすべて出したい。演技を見てもらいたいと思えるようになりました」。

 田中の魅力は、内村と双璧と言われる世界トップクラスの「美しさ」だ。

 特に、横から見ると手の先か…

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この記事を書いた人
山口史朗
スポーツ部|野球担当
専門・関心分野
野球全般、体操、競馬