第3回「五輪、諸悪の根源みたい」土俵際の都、ちらつく幻の案

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 その数字を見た東京都の幹部らは目を疑った。大型連休の5月1日。都内で確認された新型コロナウイルスの新規感染者数は1050人にのぼり、同じ土曜日だった前週の4月24日から174人増えていた。

 3度目の緊急事態宣言が出た4月25日以降も、感染拡大は収まらない。29日に1027人と、3カ月ぶりに1千人を超える。5月5日、都幹部と対策を協議した小池百合子知事はその会議後、「なかなか厳しい状況が続いていると考えざるを得ない」と語った。

 感染者数が収まらない理由のひとつは、抑制できない人の流れだ。ソフトバンクの子会社「アグープ」が公表した午後3時台のデータでは、5月5日までの1週間と、同様に緊急事態宣言が出ていた昨年の同時期を比べると、新宿201%▽渋谷182%▽銀座210%▽浅草125%▽高尾山126%と大幅に増えていた。

 「解除できる状況でない。延長が必要と考えている」。11日が期限だった緊急事態宣言について明言を避けてきた小池氏は、6日にそう語り、政府に宣言延長を要請した。

コロナ禍、その対策の影には常に五輪がちらついていました。記事の後半ではそうした経過を振り返りつつ、追い詰められた東京都が見据える緊急事態宣言後の出口戦略について触れていきます。

 3度にわたる緊急事態宣言を出しても、収束の出口が見えないコロナ禍。都関係者の脳裏には、7月23日開幕の東京五輪がよぎる。

 「国と都が早いうちから連携…

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