新耐震でも倒壊相次いだ熊本地震 住宅再建どう進んだ

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山岸玲
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 震度7の激震が2度襲った5年前の熊本地震では、震度6強や7にも耐えられる基準で建てられた住宅の倒壊が相次いだ。住民たちは震災前、自らの住まいについてどこまで把握し、備えていたのか。住宅の再建はどう進んだのか。(山岸玲)

平屋で再建、地盤の工事も

 熊本市中心部から東へ延びる幹線道路を車で約30分。朝夕は交通量が多く、4車線化の工事が進むこの道路脇に住宅が密集しているのが、熊本県益城町の惣領(そうりょう)地区だ。熊本市のベッドタウンとして発展し、畑地を住宅地として造成した土地も多い。

 5年前、2度の震度7の揺れで甚大な被害が出た。いまは築年数の浅いコンパクトな平屋建ての住宅が目立つ。

 「2階建ては地震が怖いから」。町の中心部で平屋建ての家を再建した猿渡精さん(72)はこう話す。

 震災前に住んでいたのは、1980年代後半に建てられた木造2階建ての住宅だ。震度6強や7の揺れでも倒壊しない新耐震基準に沿って建てられたはずだった。熊本市内の道路拡幅工事で立ち退きをせまられ、利便性の良さでこの地区を選んだが、中古住宅を購入したため、建築時の様子やその過程はわからない。「元々は田んぼだったと聞いている。瓦ぶきで台風には強いはずの家だったんだけど、大地震のことまでは考えていなかった」

 2016年4月14日夜、震度7の揺れが襲った。自宅は無事だったが、その約28時間後、再び震度7の地震が発生。2階部分が1階を押しつぶすようにして全壊した。最初の地震で何らかのダメージを受けていたのか、そもそも地盤に問題があったのか、倒壊の原因はわからないままだ。

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 近くに住む野口秀雄さん(6…

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