安さ勝負の新電力、襲った需給逼迫 撤退検討も

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橋本拓樹
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 5年前に始まった家庭向けを含む電力小売りの全面自由化。異業種からも参入が相次ぎ、その数は700社以上に達する。ただ多くが市場を通じて電力を調達し、今冬の価格高騰で打撃を被った。必要な電力を用意できなかったり、コストが大きく膨らんだりしたためだ。リスクが浮き彫りとなったことで事業のあり方を見直す企業も出ている。

 今年1月中旬、新電力の四つ葉電力(大阪市)の契約者のもとに、1通の案内状が送られてきた。「電力のご契約を歯愛(しいあい)メディカルの新電力『Ci電たる』へ移管をさせていただきたくお願い申し上げます」

 歯愛メディカル(石川県白山市)は四つ葉電力の親会社で、主に歯科医向けの関連用品の通販を手がけている。自由化直後に電力事業に乗り出した。自ら電力を調達して売るのではなく、新電力大手エネット(東京)の契約取り次ぎをサービスとしている。昨年7月以降、電力の調達や小売りをする四つ葉電力など複数の新電力を子会社化し、事業を広げてきた。

 そんななか、昨年12月から全国的に電力の需要と供給が逼迫(ひっぱく)した。大手電力も余裕がなくなり、卸電力取引市場で売られる電力が減少。直前まで平均して1キロワット時あたり数円台だった価格が、一時251円まで高騰した。大阪府内を中心に家庭や企業で約1千件の契約を持つ四つ葉も、市場からの調達コストなどの上昇が見込まれた。

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 そこで親会社の歯愛は、四つ葉の契約を歯愛の扱うエネットの契約に切り替えようと考え、契約者に案内を出すことにした。取り次ぎの契約に変えれば、手数料が増え、自ら電力を調達するコストは抑えられる。電力の逼迫を受けたグループの業績を改善できると踏んだとみられる。

 ただ四つ葉側は、こうした契…

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