手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の第25回受賞作が決まりました。社外選考委員を務めたマンガ家の里中満智子さんの選評は次の通りです。
里中満智子さん(マンガ家)
今年こそ「鬼滅の刃」をマンガ大賞に! と思いつづけていた。しかし「ペリリュー ―楽園のゲルニカ―」も推したいと悩んでしまった。「鬼滅の刃」は子供にもわかる表現で敵味方それぞれの立場や思いを描いていて、手塚作品の世界と通じている。「ペリリュー」は、丁寧で誠実な表現で極限の戦場における人間の弱さと強さが描かれていて、より多くの人に読んでもらいたいと切に願った。大賞にどちらを推すか最後まで悩み続けた。
最終選考会では「ランド」を強く推す委員が多かった。私自身はかねて山下和美作品は「見逃してはならぬモノ」と捉えていたので異存はない。「ランド」は「こんな入り組んだ設定をどう読者に理解してもらうのか?」と取り越し苦労をしてしまった。ごく少数の読者さえわかってくれたら良し、という覚悟と信念が滴りあふれるような作品だ。
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「葬送のフリーレン」は、新…