夏目友人帳のキャラたちが「聖地」巡り 動画で復興応援
昨年7月の記録的豪雨で被災した熊本県人吉市と球磨(くま)郡の復興を後押ししようと、県はアニメ「夏目友人帳」の主人公らが球磨川などの観光名所を巡る動画を制作した。21日、ウェブ上で公開を始めた。
夏目友人帳は、県出身の緑川ゆきさんの少女漫画が原作で、漫画誌「LaLa」(白泉社)で連載中。アニメシリーズは2008年に放送が始まった。妖怪を見ることができる少年が、祖母が生前に子分にした妖怪の名前を集めた「友人帳」を受け継ぎ、用心棒役の大妖怪・ニャンコ先生とともに妖怪たちに名前を返し、自由を与えていく日々を描いている。
公開した動画は約2分40秒。主人公の夏目貴志が大妖怪・ニャンコ先生と一緒に、日本三大急流に数えられる球磨川を川下りしたり、九州最大の鍾乳洞「球泉洞(きゅうせんどう)」を見学したりする。豪雨による被災で現在は川下りや球泉洞の見学などはできないが、動画では復興を願って被災前の様子を描いたという。
人吉市と球磨郡は元々、アニメの舞台のモデルとなっており、球磨川の西瀬橋や田町菅原天満宮など実在の場所が登場していた。ファンにとって「聖地」とされ、現地を実際に巡る「聖地巡礼」をする人も多い。
しかし、豪雨で観光客は激減した。県は、再び人を呼び込んで地域を元気にしようと緑川さんらに協力を呼びかけ、約660万円かけて動画を作成した。白泉社は「夏目友人帳の優しく暖かな空気感と、人吉球磨地域の美しくゆっくりと流れる時間をお楽しみいただけると幸いです」とコメントした。
動画は、県観光連盟のホームページ(https://kumamoto.guide/natsume-yujincho/)で公開している。