「主権免除」は妥当か 慰安婦判決支持する法律家の見解

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黄澈
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 旧日本軍慰安婦だった韓国人女性ら12人が日本政府を相手に損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は1月8日、原告の訴えを認める判決を出した。日韓を中心とする410人の法律家が4月7日、この判決を支持する声明を出した。その理由は何か、声明発表の際のオンライン記者会見から、とりまとめの中心になった山本晴太弁護士(福岡県弁護士会)の発言を紹介する。

拡大する「主権免除」の例外

 判決後、菅義偉首相は「国際法上、主権国家は他国の裁判権には服さない」と批判しました。日本政府はこの裁判を完全に無視しており、控訴することもなく、判決は確定しました。

 政府は判決が、国家には他国の裁判権が及ばないとする国際法上の「主権免除」の原則に明らかに違反する、非常識な判決のように言っています。それは妥当でしょうか。

 たしかに19世紀には、国家のどんな行為にも、この主権免除が適用される「絶対免除主義」が支配的でした。しかし、現在では主権免除には多くの例外があります。

 歴史的にみると、まず、「商行為例外」が認められました。商行為に関する民事訴訟については、主権免除を適用しないという考えです。19世紀末の欧州にはじまり、およそ100年かけて全世界で認められるようになりました。

 次に、外交官が起こした交通事故のような不法行為に対する民事訴訟も、多くの国で主権免除の例外とされるようになりました。これも欧州の国内判決から始まり、数十年で、世界中でほぼ認められるようになりました。

 そして、今世紀の始まりごろから、やはり欧州の裁判所で新しい判断が示されました。「人権例外」と呼ばれています。

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 人権例外が最初に注目された…

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