車いすだと「乗車拒否」 投稿したら、わがままとの批判

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大宮慎次朗 小川崇 吉沢英将
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 車いすで生活する川崎市のコラムニスト伊是名(いぜな)夏子さん(38)が、無人駅を利用しようとした際、駅員から一時「案内できない」と言われたとブログに書いたところ、「わがまま」という批判も多く寄せられた。障害者が障壁なく生活するにはどうすればいいのか。

 伊是名さんは骨の弱い障害「骨形成不全症」。身長100センチ、体重20キロで電動車いすで移動する。

 1日、旅行でJR小田原駅(神奈川県小田原市)からJR熱海駅(静岡県熱海市)を経由し、無人駅の来宮(きのみや)駅(同市)に向かおうとした。乗りたい電車の発車時刻の30分前に小田原駅につき、駅員に行き先を告げた。15分後に来るよう案内され、改めて行くと「来宮駅は階段しかないのでご案内ができません。熱海まででいいですか」と言われたという。

 伊是名さんは「乗車拒否」と感じた。熱海駅から来宮駅まで約1・6キロ。タクシーで来宮駅まで行こうにも、車いすを乗せられるタクシーは1カ月前に予約しないと乗れない場合がほとんどだ。出発前に調べたが、目的の駅が無人駅であることや事前の連絡が必要なことが分からなかったという。最終的に、駅員4人が来宮駅まで一緒に来て車いすを階段で運んでくれた。

 JR東日本横浜支社は「すぐに人員を確保できなかったため、タクシーをすすめた。もっと時間をもらえたならと思うが、できる限り対応した」と説明する。

 2016年施行の障害者差別解消法は、健常者には求めない場所や時間の制限などを障害者に要求することを禁じる。JR東日本は障害のある人の乗車について「事前の連絡」を求める。ただ、「条件ではなく、協力を求める形」という位置づけだ。

批判の背景に「接する機会の少なさ」

 伊是名さんは今回、障害者自身が声を上げて少しずつ社会の理解が広がってきたという思いから、経緯をブログで発信した。すると「もっと早めに連絡するべき」「理不尽な要求に対応出来なかっただけ」「断るに決まってる」という批判的なコメントも多く寄せられた。

 障害がある人も、ない人と同じように暮らせる社会の実現を目指すノーマライゼーションという考えが広まりつつあるなか、批判が多く寄せられたのはなぜか。

 駅の無人化をめぐる国交省の…

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